忌み言葉だけじゃない!「使わない方がいい言葉」も知っておこう|葬儀Book

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2015年6月24日
忌み言葉だけじゃない!「使わない方がいい言葉」も知っておこう

葬儀の席において使ってはいけない言葉である「忌み言葉」。「重ね重ね」「たびたび」などがダメ、ということはマナー本にも載っています。しかし、使用禁止ではなくても、避けた方がベターな言葉もあります。葬儀の仕事に携わってきた筆者がお教えします。

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「忌み言葉」とは何かその意味を知ろう

「お葬式で使ってはいけない」と言われている忌み言葉。その存在は、多くの人が知っていることでしょう。ここでは、忌み言葉以外にも避けた方がよい言葉についてお話していますが、まずは基本の「忌み言葉」についてから見ていきましょう。 お墓詣り

忌み言葉、その具体例を知る

使ってはいけない言葉の具体例としてよく挙げられるのは、
・重ね重ね
・たびたび
・またまた

などのような言葉です。

これらはすべて、「(不幸が)重なる」という意味合いを持つため、どのような宗教でも嫌われます。

少し横道にそれますが、葬儀の装いとして非常にメジャーな「真珠のネックレス」ですが、

これがOKなのは、一連のものだけです。二連のものは、忌み言葉同様、「不幸が重なること」を連想させるため、使ってはいけません。

ちなみに、一連の真珠のネックレスが可とされるのは、「涙のしずく」を表す表現であるからです。ただし、真珠のネックレスは、つけなければいけないものでもなければ、つけた方がベターなものでもありません。つけてもよいし、つけなくてもよい、という程度のものです。 真珠のネックレス

宗教によって違う、「プラスの忌み言葉」

上であげた重ね言葉は、どのような宗教でも厭われるものです。しかし、それ以外にも、宗教によって避けるべき言葉があります。

よく使われがちな言葉である「ご冥福をお祈りします」という慣用句ですが、

これが使えるのは仏教式のお式だけです。

これは仏教用語ですから、キリスト教や神式のお式では使ってはいけません。また、同じ仏教式であっても、浄土真宗の場合は使えません。

これにはそれぞれ理由があります。キリスト教の死生観では、「天国に行って、神様の元で永遠の安らぎを得る」という考えがあります。そのため、昔の葬儀の挨拶などの文章では、「喜べ、彼の人は神のもとで永久の幸せを得たのだ」というような書かれ方をした、とも言われています。

神式の場合は、亡くなった方は「守り神として子孫を見守ってくれる」という死生観があります。そのため、「今あるところを離れて、死後の世界で幸せになること」を意味する言葉は使えないのです。

浄土真宗の場合は、「亡くなった後すぐに幸せになる」という考え方をすることから、「ご冥福をお祈りします」という言葉は使えません。

使わない方がいい言葉の具体例

さて、ここからは、「忌み言葉」とまでは言われないまでも、避けた方がよい言葉についてお話していきましょう。避ければベターな言葉、教えてしまいます。

「天国で幸せに」「お悔やみ申し上げます」を避けるべき理由

日本人は、良くも悪くも、宗教に対してそれほど強いこだわりはもっていない、と言われています。よく言われることですが、日本人の多くは、お正月に神社に参拝し、お盆ではナスの牛やキュウリの馬を飾り、クリスマスをお祝いします。

このような宗教観であるからか、仏教などのお式のときであっても、深く考えず「天国で幸せに」というような表現を使ってしまうことがあります。 お坊さん

また、仏教でも「天」に相当する言葉があるので、厳密にいえば間違いとまでは言い切れません。しかし、キリスト教における「天国」と、仏教における「天」はやはり意味合いが違うので、避けた方が無難です。

「ご冥福をお祈りします」がダメ、ということを知っていても、「お悔やみ申し上げます」が場合によってはNGになることは、知らない人も多いのではないでしょうか。

これも、実は死生観に関係しています。上でも述べたとおり、キリスト教においては、死は悲しむべきものではありません。そのため、死を惜しむような、「お悔やみ申し上げます」といったご挨拶は、本来ならばそぐわないのです。

どんな宗教でも使える万能な言葉をお教えします!

ただ、このように考えていくと、「結局どの言葉を使ったらいいかわからない!」「ええっと、間違えてしまいそうで不安・・・」「そんなに冷静に挨拶なんかできない・・・」と混乱してしまう人もいるかと思います。

そこで、元葬儀会社勤務の私が、どんな宗教(一般的なもの)でも使える、万能な言葉をお教えします。それが、これです。

「故人の安らかな眠りをお祈りしています。○○さん(ご遺族のなかで、自分とかかわりがあった方のお名前)もご家族の方も、お体とお心を労わってお過ごしください。」

この言葉なら、仏教でも神道でもキリスト教でも失礼にあたりません。また、「天国」という表現のかわりとしては、「空の上」が使えますので、こちらも覚えておいてください。

大切なのは何よりも「こころ」

ご遺族のこころというのは、大変繊細であり、傷つきやすい状態です。そのため、できる限り、失礼になる言葉や、傷つけてしまいかねない言葉は避けるべきです。

しかしながら、一番大事なのは、何よりも「こころ」です。故人の死を悼み、ご遺族の心に寄り添うという気持ちがあれば、たとえ言葉を失ってしまっても、言葉を間違ってしまっても、それは失礼にあたりません。

あなたの心のなかの気持ちを、素直に伝えることが大切です。

素直な言葉で伝えよう

葬儀には、忌み言葉のほかに、使うことを避ける方がベターな言葉があります。しかしながら同時に、葬儀において何よりも大切なのは、弔いといたわりの気持ちです。

もちろん、このような「忌み言葉」「使うべきではない言葉」を覚えておくことはとても大切ですが、故人を思い遺族を思う気持ちは、素直な言葉にもきっとこもっているはずです。

【参考URL】 http://www.kotobano.jp/archives/384

著者:鍋谷萌子

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美容記事を3000記事以上、オリジナルレシピを150以上、福祉と医療関係の記事を1000以上書いてきたフリーライターです。フードコーディネーター、フードアナリスト、コムラードオブチーズの資格持ち。
糖尿病の家族の食事管理を行い、半年で血糖値を50以上下げた実績もあり。高血圧対策レシピなども作成できます。
介護―看護職の家族を持つため、正確な医学的知識に基づいた取材を行います。
また、葬儀会社の勤務経験を活かし、葬儀の常識から裏事情、葬儀の金額のカラクリなども解説できます。
18回の引越しを経験したこと、注文住宅を建てた経験と、建築業の専門的知識を持つ家族がいるため、不動産や建築事業に関する記事も多数執筆できます。