葬儀の花をきちんと区別しよう
葬儀というと香典や礼儀作法に目が向きがちですが、花もとても重要な要素です。
葬儀は本来厳粛であるべきですが、あまりに式場が殺風景だと、なんだか更に悲しみが増してしまいますよね。遺族の心を慰め故人の冥福を祈る意味でも、葬儀に花を用いることはとても大切なのです。
さて葬儀の花と一言でいっても、いろいろな種類があることをご存じですか?
式場や祭壇を飾るための花だったり、故人への手向けのために贈る花だったり。それらは呼び方はもちろん用途も違いますので、きちんと区別しなければいけません。
しかし関係者でもない限り、正しく区別できる人はそうそういないでしょう。
大抵の人は、いざその時が来てから情報収集をするものです。本番までにきちんと用意・手配できれば何も問題はありませんが、訃報は突然やってくるもの。慌てるあまり宗派に合わないものや場違いなものを贈ってしまった…なんて失敗をしたら失礼もいいところですので、最低限の知識は得ておきましょう。
葬儀に用いられる花、それぞれの特徴
葬儀に用いられる花は主に3種類。それぞれの特徴を紹介しますので、しっかり覚えておきましょう。
献花(けんか)
参列者が祭壇に供える花のことを献花(けんか)といい、キリスト教の葬儀ではお焼香の代用になるものです。1人1本ずつ花をとって、順番に祭壇の上に置いていく…というやり方でもってお供えします。花はあらかじめ用意されているものを使用します。
供花(きょうか、くげ)
供花(きょうか、くげ)は、式場や祭壇を飾るために供える花のこと。お悔みの気持ちを伝えるためのものでもあります。献花との違いが分からない人もいるようですが、献花は故人への手向けに贈る花、供花はそれに加えて式場や祭壇の装飾効果もある、と考えて区別しましょう。
供花には会社や個人の名前入りの札がついていると説明すると、もっと区別がつきやすいかと思います。
枕花(まくらばな)
血縁者や故人と特別親しかった人が、故人の枕元にお供えする花のことを枕花(まくらばな)といいます。小籠に白い生花が入ったものを供えるのが一般的です。
宗派や地域によって用いる花は異なる
献花や供花に用いる花は、宗派や地域などによって異なります。
仏式と神式の葬儀では、白色の菊や蘭、百合などを用いた花輪や花篭を供花とします。
祭壇に合わせてスタンド型やフラワーアレンジの形態のこともあります。花の色は白が基本ですが、故人が生前好きだった色花を用いる場合もあります。
関西地方の仏式の葬儀では、樒(しきみ)という細長く白い花を供花とする習慣があります。
キリスト教では献花や供花には白百合を用いるのが主流であり、生花でなければいけないという決まりがあります。
場所や遺族の意向なども考慮しよう
花を贈るためには、葬儀社に頼むか花屋に注文する必要があります。
当たり前のことですが、必ず通夜に間に合うように手配しましょう。また花を選ぶ際には、宗派や地域だけでなく、式場の大きさや遺族の意向なども考慮するようにしましょう。
例えば式場が狭かった場合、あまりに大きい花輪だと置き場所に困ってしまいますよね?
またたとえ葬儀には定番の花であっても、故人が嫌いな花であれば避けたほうがよいこともあります。
マナーを守ったつもりが、逆に相手を不快にさせたり迷惑をかけたりすることもあるので、注意しなければいけません。ルールに沿うことは大切ですが、臨機応変さも大事ということを覚えておきましょう。