いつ渡す?不祝儀袋を渡すタイミング
お葬式に慣れていない人にとって、最初に問題になるのが、「不祝儀袋を渡すタイミング」です。これについてみていきましょう。
なお、不祝儀についてですが、これはよく「香典袋」とも書かれます。しかし、香典袋という名称は、仏教において使われることが多い単語であるため、ここではより正確に、「不祝儀(袋)」という言い方を用います。
お通夜それともお葬式?仏壇に供えるもの?渡すタイミングとは
不祝儀袋は、基本的にお通夜のときにお渡しするものです。特に、「一般の参列者」として参加する場合は、このタイミングで渡すのがよいでしょう。ただ、お通夜は、場合によって「亡くなったその日」に行われることもあります。時間的都合がつかず、翌日の告別式に参加する、というケースもあるかと思います。このような場合は、もちろん告別式のときにお渡しする形で大丈夫です。
なお、不祝儀は、お通夜か告別式のいずれか一方でお渡しするのが一般的です。しかしながら、葬儀の形に地域差があるように、不祝儀を渡すタイミングにも地域差があることも確かです。
私が実際に見た例では、お通夜~初七日法要(現在は葬儀の日にすますやり方が多いです)に参列されていた方が、「お通夜」「告別式」、そして食事の前に仏様に「ご霊前」という形で不祝儀を出していた、というものがありました。
地域の慣習がわかっているのであれば、その地域の慣習に合わせるのもよいでしょう。わからなければ、上記のように一般的な方法をとることをお勧めします。
不祝儀袋を忘れてしまった!どうすればいい?
不祝儀袋を忘れてしまった!というときは、ただでさえ動転している気持ちをさらに混乱させてしまいます。最近はコンビニエンスストアなどでも買うことができますね。ただ、「当日会場入りしてから気づいた」ということもあるかと思います。そのような場合は、慌てずに葬儀会社のスタッフに相談してください。葬儀会社はどこでも不祝儀袋のストックを持っているはずです。100円程度で売ってくれます。
ちなみに、「不祝儀袋に入れるお札は古いお札で。新札はダメ」という言葉を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。新しいお札というのは、お通夜のときの喪服と同じで、「前もって用意していた」という意味合いを持ちます。そのため、新しいお札を使うことはバッドマナーとされていました。しかし、だからといって、くしゃくしゃになった古いお札では逆に失礼になります。
そのため、「汚れていないもの」を選ぶようにしましょう。「くしゃくしゃのお札」か、「新札」しかない場合は新札を。ただし、そのまま入れてはいけません。新札を二つに折って、折り目を付けてから入れるようにします。
不祝儀袋の選び方
多くの人が迷うのが、「不祝儀袋の選び方」です。間違いやすいうえに、場合によっては後々まで火種を残すことになりかねませんから、必ずチェックするようにしましょう。
水引と表書き
水引でもっとも重要なのが、「結び方」の違いです。葬儀や法要のときは、結びきりの不祝儀袋を選びます。このときの水引の色は、黒と白色のもの、あるいは銀色のものを選ぶのが一般的です。
黄色と黒のものは、基本的には法要のときに使います。ただし、一部の地域では、黄色と白のものを選ぶこともあります。迷ったときは、黒と白のものが無難でしょう。
ちなみに、袋に直接水引が印刷されているものは、比較的控えめな金額を入れるときに使います。ただ、上であげたように、「急場でほしい」という場合は、そこまで考慮しなくてもよいでしょう。
表書きは仏教、神葬式、キリスト教で異なる
表書きは、宗教によって違います。「不祝儀袋はしばしば、香典袋とも呼ばれる」というのは、日本においてメジャーな宗教である仏教が、このような表書きを用いるからです。仏教では、「御香典」「御香料」といった言い方を用います。ちなみに、「お通夜、告別式、法要の3段階で受け取った不祝儀」の場合、法要のときは、「御仏前」という言い方を用いていました。
神葬式の場合は、仏教と混同しやすいので注意が必要です。「御玉串料」「御神前」という書き方を用います。
日本人にはあまりなじみのないキリスト教の場合、「御花代」「御ミサ料」「献花料」などです。一応、「御花代」はプロテスタントの、「御ミサ料」はカトリックのものと言われていますので、相手の宗派までわかれば使い分けてもよいでしょう。
不祝儀袋は、薄墨で書くのが望ましいです。その由来は、「涙が落ちて墨もにじむ」という意味あいや、「ひどく心が沈んでおり、墨をする力もない」という意味あいからとも言われています。
注意!間違えやすい香典袋の選び方
「水引の色は黒白か、それとも黄白か?」という問題は、「地域差」で片付けられる問題です。そのため、仮に間違ったとしてもそれほど大きな問題にはならないでしょう。注意してほしいのは、「絶対にやってはいけないこと」の方です。
蝶結びの水引を使ってはいけない
蝶結びになっている水引は、絶対に使ってはいけません。これは、「何度でも繰り返して起こってもいいこと」に対して選ぶものです。出産祝いや進級祝いなどがそれにあたります。つまり、「祝儀袋」という形で出すときなのです。これを葬儀や法要の席のときに出すのは、失礼極まりません。
ハスの花が印刷されているのは仏式のみ
十字架が印刷されているものはキリスト教のものだ、というのがわかりやすいと思います。ちょっと注意したいのが、「ハスの花が印刷されている」というもの。これは仏式のものです。お釈迦さまとハスの花のエピソードからです。当然、神葬式やキリスト教では使うことができません。
最低限、この2つは覚えておくべきです。
それから、不祝儀袋を閉じるときは、下側を下に、上側を上にしてたたみます。これは、「下から不幸が落ちていきますように」という願いが込められています。祝儀袋の場合は、「下から幸せが零れ落ちないように」という意味で、下側を上側に重ねます。
これさえ覚えておけば大丈夫、万能の表書き
ここまで見ていきましたが、相手の宗教まではわからない、という人も多いのではないでしょうか。その場合に使える、万能の表書きが、「ご霊前」というものです。
これは、浄土真宗などの一部の宗教においては避けるべきとも言われていますが、現在の流れでは、「どの宗教においても、幅広く使える」という表書きとして知られています(浄土真宗の場合は「御仏前」です)。相手の宗教や宗派がわからない、という場合は、この書き方をしておけばよいでしょう。
弔事だからこそ知っておきたい、不祝儀袋の常識
弔事というのは、普段に比べて、ものすごく気持ちが敏感になっているものです。そのため、参列者や親戚として不祝儀袋を渡すときにも、きちんとマナーを守り、遺族の気持ちを慮りたいものです。
葬儀というのは、「故人やその家族の思いによりそい、いたわろう」と考える人が参加するものです。もっとも大切なのは、何よりもその気持ちです。不祝儀袋のマナーというのは、「あなたの気持ちが、妙にマイナスな点をつけられることなく、遺族に受け取ってもらえるように」という、「出す側にとっての心地よさ」のためにもある、と言えるのかもしれません。
参考サイト
http://www.best-manner.com/manner/sougi/kouden_shinshiki.html