水葬は日本では違法、しかし例外もある
葬儀方法には色々な種類がありますが、そのうちの1つに水葬があります。
水葬とは、遺体を海や川に投下し沈めるというやり方でもって故人を葬ることです。
水葬が行われている代表的な国といえばインド(ガンジス川)ですが、国を問わず上陸戦で亡くなった方もその対象となります。
日本では基本的に違法であり、もし犯した場合は刑法190条の死体遺棄罪・3年以下の懲役に罰せられることになりますが、例外的ケースも存在します。
それは海上を航行中に船内にて死亡者がでた場合です。
この場合は、船員法の第15条の規定に基づき、船長の管轄で水葬を実行することができます。
ただし実行するには、以下に記す5つの条件を満たしていなければなりません。 ※船員法施行規則の第15条・第16条の規定に基づいています
1. 亡くなってから丸1日(24時間)過ぎていること
2. 衛生的な面から、船内での遺体保存が不可能である場合
3. 医者が乗船・常駐しており、死亡診断書を発行した場合
4. 感染症で亡くなった場合、十分な消毒処置済みであること
5. 故人の写真や形見となるもの(遺髪や遺品など)の保管や、遺体の浮上防止のための処置、葬儀儀礼をきちんと済ませている場合
さらに自衛隊でも水葬が認められており、満たすべき条件は上記5つとほぼ同じですが、3と4に関してはやや内容が異なっています。
3. 医者が乗船・常駐しており、死亡診断書もしくは死体検案書を発行していること
4. 感染症で亡くなった場合、感染症法規定に基づいたやり方で消毒処置済みであること
鳥葬、風葬…。世界にはさまざまな葬儀が存在する
水葬のほかにも、世界には多種の葬儀方法が存在します。
ハゲワシに遺体の処理をまかせるチベットの鳥葬、断崖や洞窟に遺体を安置し風化させるインドネシアの風葬など、われわれ現代の日本人から見ると驚くような方法で、葬儀を行っています。
しかしいずれの葬儀も、各国・地域の信仰宗教や古来よりの伝統・風習に基づき行われる神聖かつ厳粛なものです。一見残酷と思える方法でも、その全ては死者の安息を願い生み出されたものであることを忘れてはいけません。ですから白い目で見たり、差別意識を持つことは控えるべきです。
近代的イメージを持つ葬儀方法に、ロケットに遺灰を積んで打ち上げ宇宙空間に散骨する宇宙葬があります。不謹慎では…?と眉をしかめる方もいれば、壮大な宇宙に葬られることにロマンめいたものを感じる方など、受ける印象は人それぞれでしょう。
現代の日本では火葬が一般的な葬儀方法です。
しかし長い人生ですから、いつどのような形で最期を迎えるかわかりません。
今は国内に住んでいても、将来他国・他宗教の地域へと移住する可能性だってあるでしょう。航行中や自衛隊の業務従事中に、不幸が訪れることもあり得ます。
水葬や鳥葬など、一風変わった葬儀方法たち。
自分や家族に全く無縁とは言い切れませんから、知識を深めておくことをお勧めします。