【日米で比較してみた】土葬と火葬の違い|葬儀Book

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2012年8月21日
【日米で比較してみた】土葬と火葬の違い

火葬が義務付けられている日本も、昔は土葬による埋葬が主流でした。一方、キリスト教圏であるアメリカでも土葬が主流と思われがちですが火葬による埋葬も増えているのです。土葬と火葬はどのような特徴があるのでしょうか?

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
  

火葬と土葬…埋葬法として優れているのはどっち?

2009年に総務省がまとめたところによると、日本の火葬率は99.93%と世界最高の水準を誇っています。しかし、この数字を逆に言えば0.07%は火葬以外の方法で埋葬されているということでもあります。
つまり、日本では未だに火葬ではなく土葬による埋葬が行われているのです。
一方アメリカでは、ハリウッド映画やドラマで棺を土中に埋葬するシーンをよく目にしますが火葬が全く存在しないというわけではありません。実はアメリカにおける火葬率は30%前後と、意外に高いのです。
日本の火葬・土葬、アメリカにおける土葬・火葬は何が違うのでしょうか?

アメリカの火葬は骨が残らない

アメリカは意外に火葬率が高いのですが、これは土葬費用が払えない場合やアメリカへの訪問者が客死してしまった場合に火葬が行われるためです。
また、故人が愛した海や山へ散骨を望んでいた場合も火葬を行うことになります。

アメリカの火葬場に設置されている火葬炉は、日本の火葬炉よりもはるかに火力が高く骨が残らないレベルで焼き上げることになります。そのため、日本のように「ここはどこそこの骨ですね」と示せるような形がしっかり残った骨はほとんど見当たらないのです。
その上、骨壺に納められるように電気的な手段などで粉々に粉砕してしまうので遺骨ではなく遺灰になってしまうのです。

日本の土葬は骨も土に還る?

昭和初めごろまで全国的に行われていた日本の土葬は、樽のような棺桶や木棺ごと遺体を土に埋めるというものでした。棺桶を埋めた跡はその上に土を盛って土饅頭を作り、土饅頭がつぶれるころには遺体は土に還っているという寸法です。

遺体が土に還るのは腐敗菌や土中の微生物の働きによるもので、数か月もすると肉は完全に亡くなり骨だけになってしまいます。しかし、日本の土壌は酸性寄りなので数十年埋め続けていると骨が酸によって浸食されて、きれいに跡形もなくなってしまうのです。
ただし土中に水分が多く腐敗しにくい環境だと、遺体に残っている脂肪分と水分が結びついてグリセリン化を起こし「屍蝋」と呼ばれる石鹸のようなミイラになってしまうことがあります。

アメリカの土葬は腐らせない

日本で土葬が廃れた理由の一つには、「腐敗した遺体が原因で感染症が起こる恐れがある」ということです。そのため、土葬があったころの日本では遺体を埋葬する墓場と参りに行く墓を分ける「両墓制」を取っていましたが、現存する両墓制墓地は数少なくなっています。

土葬が主流のアメリカの場合、死体が腐敗しないように「エンバーミング」という処置が施されます
腐敗を引き起こす原因である血液を抜いて防腐剤を注入したり、事故などで外部に損傷がある場合は生きていた時のままの姿になるよう修復したりすることが目的です。
エンバーミング処置が施された遺体はドライアイス等で冷却しなくても常温保存が可能で、長距離輸送にも耐えられます。

日本の火葬における勘違い

日本の火葬はこう言ってはなんですが腕が良く、骨格標本のようにしっかりと形が残りながらもなおかつ生焼けの部分が残らないように焼いてしまうことが出来ます。

火葬した後は遺族や参列者と一緒にお骨ひろいをしていくのですが、「病気を患わっていると患部の色が変わる」「薬の色が骨に出る」と骨を箸でつまみながら話すことがあります。
実は焼けた骨の色が変化しているのは一緒に棺桶に入っていた花や物の色が移ってしまったことによるものです。陶器を焼いた時に灰が釉薬になるのと同じ現象です。

今も日本で土葬している地域がある

現代の日本では火葬が法律で義務付けられていますが、各自治体が許可すれば土葬しても構わないことになっています。
そのため、奈良県や山梨県をはじめとする一部地域では土葬用の墓地が現在も運営されています。

近年問題になっているのは、日本在住のイスラム教徒の埋葬問題です。
イスラム教では土葬のみが埋葬法として許されているのですが、火葬した遺骨しか埋葬できないタイプの墓地・霊園が多いため、日本に在住しているイスラム教徒は墓地探しでしなければなりません。
イスラム教徒向け墓地は山梨県甲府市と北海道余市町の二か所があるのですが、土地不足が深刻になっているようです。

場所を取る土葬、燃料が要る火葬

土葬にしても火葬にしても、それぞれにメリットとデメリットがあります。

一昔前まで土葬が主流だったのは、火葬するためには燃料が必要だったためです。日本の場合、骨が残る程度に焼く必要があるので800度前後を維持する必要があります。
燃え尽きるまで800度程度の火を維持するには、薪や石炭・石油などの燃料を十分な量だけ準備できていなければなりません。

一方土葬の場合、朽ち果てるまでを自然に任せるままにできるので燃料は必要ないのですが遺体が土に還るまで一定のスペースが必要になります。つまり、土葬は慢性的な土地不足に陥りやすいのです。
実際に土葬をしている墓地では前に埋めた場所をローテーションして新しい遺体を埋めるようにしているのですが、掘り返したら骨が残っていたということも珍しくない話なのです。

著者:坂下モド

都内在住のフリーライター。犬猫と仲良く暮らしてます。
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ペットを飼っている関係上、ペット関連の記事を多く執筆。現在ではジャンルを問わず、政治・経済なども