なぜ?家族葬の希望者が増えている理由
葬儀は会葬者の数が多く盛大であるほど良い…という考え方は廃れつつあります。
その証拠に昨今では、身内のみで密やかに行われる家族葬を希望される方が増加傾向にあります。一体なぜそのような現象が起きているのでしょうか?
故人の友人・知人は会葬者に含まれない
家族葬は密葬と混同されがちですが、密葬とは違い故人の友人や知人は会葬者に含まれません。
会社の同僚や先輩・上司といった間柄の者も同様です。会葬の対象となるのは家族もしくは親族、つまり限られた身内のみなのです。
どこまでの親族を会葬者とするかについては、明確なルールが設けられているわけではなく、遺族の希望や判断に委ねられています。
ある葬儀社が実施したアンケート調査によると、『父母、配偶者、子供、孫、兄弟姉妹までが家族葬』と認識している消費者の割合が最も多かったという結果が出ています。
次に多かったのは、『父母、配偶者、子供、孫、兄弟姉妹、祖父母、叔父、叔母、従妹までが家族葬』と認識している消費者でした。
高齢化社会も関係している?
なぜ家族葬を希望する遺族が増えているのか、それには以下のような理由が考えられています。
- 面識のない人が参列すると対応に困ってしまう
- 通夜振る舞い(通夜料理)などの準備が大変
- 大規模な葬式は高い費用がかかる
- 高齢化社会のため
平成23年度における日本人の平均寿命は男性で79歳、女性で85歳と報告されています。
単純に考えるならば、会社を定年退職してから30~35年後に亡くなられる方が多いことになりますね。
長い年月が経過していますから、当時故人と接点のあった会社関係者を探すのは容易ではありません。
例え見つかって葬儀に参列してもらったとしても、お互いにどう接したらよいのか戸惑ってしまうでしょう。
しかし家族葬ならば、こういった手間や精神的負担を懸念することもありません。
長年の人間関係に亀裂が入ることも!?
面倒な手間を省ける上に、金銭面の負担も軽く済ませられる。
そう考えると家族葬は有意義ですが、必ずしもメリットばかりとは限りません。家族葬を行うことで長年の人間関係に亀裂が入ってしまうなど、デメリットも存在するのです。
具体的には、会葬者リストから除外されてしまった親戚から「私たちは身内じゃないのか!」と怒られたり、故人の大切な友人・知人に「親しいと思っていたのは自分だけだったのか…」と誤解されたり等々。
遺族に悪気がなくとも、相手の気分を害す結果になってしまうケースが多々見受けられます。
周囲の理解と、遺族側の配慮が大切
遠縁とはいえ血縁関係にある者や、生前に故人と親交があった者を葬儀に呼ばないという行為は、見方によっては冷酷かもしれません。
しかしながら葬儀は本来、遺族の気持ちを最優先し希望を反映する形で行うべきものです。ですから、
身内だけで静かに葬儀を行いたい、形だけ盛大になりがちな一般葬は控えたい…。
周囲は遺族のこんな願いや本意を汲み取って、理解を示すことが大切であると言えます。
また遺族側が事前に配慮することも大切です。
あらぬ誤解を招かないよう、あらかじめ周囲に家族葬を行う旨を伝えておく、親戚とじっくり話し合うなどしておくことで、後々に発生し得るトラブルを回避することができます。