年間500人から600人の日本人が海外で亡くなっている
海外における法人の死亡者数は、外務省が発表している「海外法人援護統計」にて、確認する事が出来ます。
これによると、ここ10年間で2003年の483名が最も少なく、2005年・2008年の615名をピークとして、毎年500名から600名が亡くなっている事が分かります。
2011年の死亡例で最も多いのが「傷病」の409名。続いて「自殺」の63名。
また、スポーツやレジャー中に起こった事故では32名。交通事故では25名の合わせて、57名というのも少ない数字ではありません。
数値だけで見ると、決して多くは見えないでしょう。
しかし、毎年、海外で死亡している人がいるという事実は変わりません。
法人が海外で死亡した時の流れ
日本人が、何らかの理由で亡くなった時、通常は以下の流れとなります。
- 国内の遺族へ連絡
- 海外から日本への遺体の搬送
- 空港からの自宅への遺体搬送
- 国内での葬儀
ただし、基本的な流れは同じなのですが、国により必要な手続きが増えたり、書類の名称が違う事もありますので、在外公館のサイトを確認しておくことをお勧めします。
1.国内の遺族へ連絡
現地にて、日本人の死亡が確認された場合、まずは「現地にある日本大使館か総領事館(在外公館)」へと連絡されます。
その後、現地から「日本の外務省」。そして外務省から「遺族」へと死亡が通知されます。
・連絡の流れ
『現地の警察・病院→在外公館→外務省→遺族』
現地でそろえる書類
遺体を国内に搬送し、死亡届を出す場合には様々な書類が必要でとなります。
現地医師による死亡診断書
国内で死亡届を出すのに必要になります。
また死因が変死(事故死・自殺・他殺など病気以外の死)とされたケ場合は、監察医による「死体検案書」とその翻訳文が必要になります。
在外公館による埋葬許可証
国内で遺骨を埋葬際、お寺や墓地の管理事務所へ提出する書類。
国内では、火葬許可証が埋葬許可証となりますが、海外では火葬の有無にかかわらず埋葬許可証を作成してもらう必要があります。
また、在外公館では同時に『遺体証明書』も発行されますので、忘れずに受け取りましょう。
その他の書類
現地で火葬を行った場合には、『火葬証明書』。
防腐処置(エンバーミング)を行った場合には、葬儀社による『防腐処理証明書』などが必要になります。
2.海外から日本への遺体搬送
遺体は国際航空便となり、空輸される事になります。
当然、通関手続きが必要になりますが、在外公館の封印があれば手続きは簡単なものになります。
また、安全面からドライアイスを使用しての輸送は出来ません。
基本的に、これらの搬送に関する手配は全て遺族が行わなければいけませんが、戸惑う事も多いでしょう。
そんな時は現地の在外公館の職員が手を貸してくれます。
3.空港からの遺体搬送
日本に到着した後、空港からは国内の葬儀社が受け持つ事になります。
あらかじめ、故人が帰国する前に葬儀社とスケジュールの調整をしておく必要があります。
4.国内での葬儀
葬儀は通常のそれと変わらないでしょう。
役所へ提出する死亡届は帰国から3ヶ月以内。書類がそろっていれば、問題はありません。
ただし、海外の棺はサイズや材質の関係上、そのままでは火葬できない事もあります。
必要であれば、火葬用の棺桶を準備しておきましょう。
故人の引き取りには在外公館の協力が不可欠
現地の風習や法律、言葉の壁など、海外から遺体を引き取るのは簡単ではありません。
しかし多くの場合は、在外公館の職員が手助けをしてくれます。
また、在外公館では、現地で起きたトラブルの相談にも乗ってくれます。
万が一の為にも、連絡先や住所を確認しておくのがよいでしょう。