その時が来た時に焦らないように…葬儀の流れを知っておこう
仏教には「生病老死」「愛別離苦」という言葉があります。生きている以上病や老いに悩まされ、いつかは死ぬという苦しみ、愛するものがいてもいつかは寿命で別れることになる苦しみがあるという言葉です。
私たちは一生のうちに、何度も出会いと別れを繰り返していきます。それは友人や恋人に限らず、大事な家族にも言えることで、二度とこの世で再会できない別れ方をすることもあるのです。
だからこそ、しっかりと葬儀を行って心残りのないように見送ることが大事なのです。
大まかな葬儀の流れ
厳密に言えば、故人が逝去したその瞬間から葬儀は始まっているといえます。逆に葬儀の終わりは、初七日を迎えた時とも言えますし、納骨を済ませた時とも言えますし、荼毘に付した時とも言えます。
そして、葬儀全体の流れは次のようなものになります。地域の慣習によっては一部順序が前後することがあります。
- 臨終
- 診断、死亡診断書の発行、清拭
- 葬儀会社への依頼、帰宅準備
- 帰宅、遺体の安置
- 知人などへの連絡
- 湯灌・納棺、仮通夜
- 通夜
- 告別式
- 出棺、火葬
- 精進落とし
- 還骨法要
- 初七日
逝去したら何をする?
家族が逝去して故人となった時、残された家族がするべきことはまず「医者に連絡する」ことです。
死亡診断書がなければ死亡届を役所に出せませんし、火葬許可・埋葬許可をもらうことが出来ません。
入院中に逝去したのであれば、担当の医師がそのまま診察して死亡診断書を書いてくれるので手間は少ないのですが、自宅で逝去した場合はかかりつけの医師に連絡して自宅に来てもらわなければなりません。
死亡診断書を発行してもらったら遺体をきれいにする清拭が行われますが、清拭は看護師さんがやってくれるので家族は何もしなくてもいいでしょう。
清拭が終わったら故人とともに無言の帰宅となりますが、遺体の搬送は「霊柩車もしくは寝台車で行わなければならない」と法律で定められているので葬儀会社に連絡して搬送してもらわなければなりません。
葬儀会社を前もって決めてある・互助会に入会しているのであればそれでいいのですが、この時点まで葬儀会社が決まっていないと病院から紹介された葬儀会社を利用しなければならなくなります。
仮通夜までに何をする?
帰宅後、仏間や和室などに遺体を安置した後は故人の交友関係や会社などに故人の逝去を連絡することになります。これが意外と大仕事で、携帯電話のアドレス帳や年賀状をひっくり返しながら連絡したそばから話を聞きつけた耳の早い知人・友人・近所の方からの連絡攻勢を受けることになります。
家族が連絡や葬儀の打ち合わせに追われているうちに、映画でもおなじみの湯灌・納棺が始まります。湯灌・納棺は大体通夜の前日あたりに行われることになります。
湯灌は専用の浴槽を持ち込む場合もありますが、大体の場合はタライにお湯を張っての清拭で行われます。男性の場合、遺体になってもヒゲが伸びるので剃刀を当ててヒゲをそることがあります。女性の場合は湯灌後に化粧が施されます。
通夜・告別式までにすること
通夜・告別式は基本的な流れが決まっているので、遺族が出来ることは式中に掛けたい音楽や祭壇に供える故人の好きだったものの用意など、意外と限られてきます。
葬儀の間は家族だけでなく親族も来るのでご飯の用意が面倒になるので、出前や出来合いのお弁当・お惣菜で済ませることが多くなるでしょう。正直、家族の分だけの食事を用意するだけの気力・体力も使い果たしてしまうのが葬儀の大変なところです。
通夜までの間は、家に送られてきた弔電や弔文を整理したり遺影に使う写真を選んだり、弔問客の応対をしたり、担当者と葬儀のプランや香典返しの話し合いをしたり、誰に弔辞や受付のお手伝いを頼むかを考えたり、式内で紹介される故人のエピソードや喪主からの挨拶を考えたりと、通夜・告別式までの準備に没頭することになります。
準備が終われば後は葬儀会社にお任せして会場に行きましょう。
通夜・告別式ですること
通夜・告別式で喪主・喪家がするべきことは、まず「参列客への挨拶」です。会場入り口あたりに立っているだけで参列客から「この度はご愁傷様です」と挨拶にやってきます。「来てくださってありがとうございます、故人も喜んでいることでしょう」と返礼を繰り返すのが、喪家の仕事といってもいいでしょう。
開式まで喪家は参列客に返礼したり、ご飯を食べたりと少ない時間をやりくりして式を乗り切る準備をしなければなりません。式が始まったら飲食はもってのほかなので事前にしっかり食べておきましょう。
式では、喪家は前列に用意された遺族席に座りましょう。導師を務めるお坊さんが入場し読経が始まったら必ず数珠を出しておきます。
読経が終わったら生前の故人の紹介、弔電の紹介、弔辞が行われますがこれは通夜の時に行うこともあれば告別式の時に行うこともあります。
再びお坊さんが入場すると、今度は焼香のための読経が始まります。焼香は喪家・親族が先に行うので忘れないようにしましょう。
焼香が済んだら閉式に先立ち喪主からの挨拶を行わなければなりません。アンチョコを用意しておいてもいいので、故人のために集まっていただいたことへの感謝の気持ちをしっかり伝えましょう。
火葬・納骨までに何をする?
地方にもよりますが、通夜か告別式が終わるといよいよ火葬を行うことになります。
喪家・親族の男手総出で棺桶を担ぎ上げて霊柩車に運び込み、火葬場に向かいます。ちなみに火葬場に行く時の道と帰るときの道は全部または一部変えるのがしきたりです。そのため、渋滞に巻き込まれて帰宅が遅れることもあるので注意しましょう。
火葬場で喪家がやることは特にない、と断言してもいいでしょう。最後のお見送りをして控室で焼き終わるまで待機して、お骨を拾って骨壺に納めて帰宅の途に就くだけです。
火葬後に行う精進落としは別の日に機会を設けて会食するのが本来の形ですが、最近は火葬が済んだ後に火葬場の控室で行うことが多くなっています。
四十九日まで
火葬が終わったら、遺骨を迎えるための還骨法要を行うのですが近年は初七日と合わせて行うことが多いようです。
そして、初七日が過ぎて臨終からの葬儀の流れはようやく一段落付くことになりますが、四十九日まで七日ごとに供養を続けなければならず、まだまだ苦労は続いてくのです。