忘れてはいけない葬儀参列のマナー
葬儀には遺された人たちの悲喜こもごもが詰まっています。
遺族は遺族で葬儀の準備に始まり、故人名義の口座に生活費や葬儀費用が入っていないかを確認したり、葬儀についての連絡を親戚知人に回したり、一段落付く四十九日までやることがいっぱいで悲しみから離れる暇がありません。
故人の同僚や友人・知人は、香典の準備やタンスの肥やしになりかけていた喪服を引っ張り出して参列のための休暇・交通手段・ホテルの確保をしなければなりません。
その上、遺族に弔意を示すためのマナーもしっかり守らなければならないのですから、遺族とは別の疲労感がやってくることになるのです。
葬儀のドレスコード・喪服について
TPOに合わせた服装をすることはマナーの基本中の基本です。特に冠婚葬祭に参加する際は、服装コードをしっかりと守ることが参列客としての資質、引いては社会人としての常識を証明することになります。
葬儀の際の服装は男性ならシングル・ダブル問わず黒のスーツ、女性は黒のスーツ・ワンピースもしくは着物を喪服として着用することになります。
男性の場合は普段遣いのスーツを間に合わせで喪服にしても構いません。女性の喪服はスカートが短すぎるのはマナー違反になってしまいます。
男性は白のワイシャツに黒のネクタイ、女性はストッキングを必ず着用して肌を出さないことが求められます。
喪服の場合、夏場でも上着を脱げないので通気性が良く汗を掻きにくいものを別に用意しておきましょう。
未成年者は学校の制服があればそれを着用します。制服は礼服としての機能も持っているため冠婚葬祭の時にも使えます。制服がない学校の場合は、白のワイシャツ・ブラウスに黒のズボン・スカートというように大人の喪服に倣った、落ち着いた色合いの服装をするようにします。
男女ともにアクセサリー類はできるだけ身に付けないようにするのがマナーですが、例外的に真珠をあしらったアクセサリーは身に付けていて構いません。
香典の書き方・運び方
葬儀に参列する際には必ず準備しなくてはならない香典。香典は故人に対するお供え物であると同時に遺族に対して弔意の気持ちを示すものでもあります。
香典袋に包むお金は、必ずお札だけにします。硬貨が入っているとチャリチャリ音がして具合がよくない上に、後で数える際に無くしてしまうことがあるからです。また、お札はできれば使用済みのものにします。新品のピン札だと「亡くなる前から準備していた」ように思われ、失礼にあたるからです。
香典袋の表書きには、水引の結び目の上には「御霊前」「御香典」「御神前」「御花料」などと墨で記入します。この部分は故人が信仰していた宗教によって異なるので、どの宗派にも使える「御霊前」と書いておくのが無難です。結び目の下には会葬者であるあなたの名前をフルネームで記入します。
包んだ金額などは、香典袋の内袋に記載します。内袋の表側には「金壱萬圓也」というように旧字体で書くようにします。内袋裏の左側に香典を包んだあなたの名前と住所を記入しておきます。後で参列者名簿と照らし合わせる際に必要になるので、忘れずに書き込みましょう。
香典袋を運ぶ際には必ず「袱紗(ふくさ)」に包むのがマナーです。裸のまま香典袋を持ち運ぶと擦れて文字がかすれたり角が折れたりしてしまい、大変失礼です。
ご遺族へのあいさつ
葬儀会場でご遺族と対面した際に交わす挨拶は、できるだけ簡潔に済ませるのがマナーです。葬儀で忙しいご遺族を呼び止めて長々と話をするのは失礼なだけでなく迷惑になります。
ご遺族へのあいさつは「この度はご愁傷様でした」がベターです。大声を出さず、声のトーンも抑えたうえではっきりと発声しましょう。
ご遺族に香典を渡す際には「御霊前にお供えください」と一声かけましょう。
また、ご遺族から電話で訃報を知らされた際は「ご連絡いただきありがとうございます、突然のことで驚いております」とあいさつしましょう。
葬儀での振る舞いについて
葬儀会場内の雰囲気は、厳かというか静謐というか独特の空気が流れ時間感覚がなくなるような感じさえ覚えてしまいます。
そんな静かで落ち着いた空気が漂うからこそなのか、騒ぎ声や失礼な振る舞いはよく目立つものです。しっかりとマナーを守って静かな雰囲気を壊さないようにするのが立派な大人の振る舞いです。
会場内に入る前には必ず携帯電話の電源をオフにしておきましょう。遺族のあいさつの最中などに着信音が入ってしまっては大変失礼です。
会場内を移動する際は決して早足で移動したり、足音を立てて移動したりせずゆっくり静かに歩きましょう。
また、会場内に持ち込む荷物はできるだけ小さくするのがマナーです。男性は手ぶらで、女性は黒い小型のハンドバック程度が良いでしょう。
焼香のポイント
葬儀につきものの焼香は、葬儀以外では全くと言っていいほど行わないものなので葬儀に参列したことのない人は全く知らないものです。
焼香は葬儀において、参列者が故人の冥福を祈る数少ない機会なのでしっかりとやり方を覚えておきましょう。
焼香台に並ぶ立式でも、香炉がお盆に乗せられて回されてくる形式でも焼香の基本は同じです。
まず、遺影に向かって合掌しながら一礼します。左手で拝みながらお香を右手の親指・人差し指・中指で摘みあげ、額のあたりまで掲げてパラパラと香炉に落とします。これを三回ほど繰り返したら再度合掌し一礼します。
立式の場合は数歩下がって遺族とお坊さんに一礼してから自分の席に戻ります。回し方式の場合は自分の左側に座っている人に一礼してからお盆ごと香炉を渡しましょう。