知らないと200万円も損をする?!葬儀費用と相続と控除の関係|葬儀Book

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2012年11月29日
知らないと200万円も損をする?!葬儀費用と相続と控除の関係

葬儀費用が相続税の控除対象になる事はあまり知られていません。その上、葬儀に掛かった費用のどこまでが控除されるかを知っている人はさらに少ない事でしょう。そこでもしもの時にあわてない為に、相続税から控除される葬儀費用の事を調べました。

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葬儀費用は『相続税』から控除される

国税庁の〈相続と税金〉には『葬儀費用を遺産総額から差し引きする』とありますので、葬儀費用は『相続税の控除対象』となります。

しかし、相続税には基礎控除額がありますので、残せる財産が6,000万円以下であれば、そもそも相続税すら発生しません。

日本の平均的な葬儀費用は全額で約200万円。
遺産を残せるほど成功している故人であれば、もっと大きな葬儀を行っていても不思議ではありません。
葬儀費用が相続税の控除対象となる事を知らないだけで、200万円以上も多く、税金を収めてしまう可能性があるという事です。

遺産は所得の対象外

遺産が相続税にならないのなら、次に気になるのは所得税という事になります。
しかし、控除内で相続した物についても収入ではありませんから、確定申告を行う必要はなく、相続した分に所得税がかけられることもありません。

控除となる葬儀代とは?

一口に葬儀と言っても、1日で終わるものではなく、その支払う内容は多岐にわたります。
そしてその全てが控除対象になる訳ではありません。

相続税控除の対象になるケース

国税庁が葬式費用と認めるのは、以下の場合です。

  1. 死体の捜索、運搬に掛かった費用。
  2. 遺体や遺骨の回送費。
  3. 本葬式や火葬などに掛かった費用。
  4. お通夜など、葬式の前後に必要となった費用。
  5. お寺に渡すお布施などの費用。

具体的には、「仮・本葬式」、「お通夜」、「お布施」、「葬儀の会場代」、「霊柩車の費用」などが葬儀費用と認められます。

相続税控除の対象にならないケース

しかし、以下の費用については、控除の対象外です。

  1. 香典返しの費用。
  2. 墓地や墓石の購入費。
  3. 告別式以降に掛かった費用。

注意するべきは「3・告別式以降に掛かった費用」の項目。
これにより、初七日や四十九日の法要で必要となった金額は、控除対象から外されることになります。

香典は相続?所得?

葬儀を行った際に頂く香典は収入と考える事も出来ます。

しかし香典の本来の意味は『お香を持参する代わりに用意した現金』です。
一応現金の形を取っていますが、本来はお香ですので通常の収入とは考えません。
収入にならないのですから、確定申告も必要ありません。

つまり、『所得税や相続税の対象とはならない』という事です。

相続と葬儀費用の控除の注意点

葬儀を行う時は、バタバタと忙しいのが普通です。
しかし、その忙しい中でも必要な事をしておかないと、後で面倒なことになる可能性があります。

領収書は全部取っておく

葬儀に掛かった費用で、葬儀社が用意してくれる分や、出前などの飲食代、コンビニで支払った分など、葬儀の期間中に受け取った領収書は、全てひとまとめに保管しておく事で、相続税控除を申告する際の証拠になります。

領収書がない物はメモでも大丈夫

また、お寺へのお布施など、領収書を受け取る事ができない場合はメモを残して置きましょう。
必要な項目は『支払日』、『支払った相手』、『支払った目的(お布施や車代など)』、『支払金額』が分かるようであれば十分です。

相続税の申告と納税は10ヶ月以内に行う

原則として、相続税は無くなった翌月から10ヶ月以内に申告と、金銭一括での納税を行わなければいけません。
また、遺産が土地やマンションなど、容易に現金化できない場合には延納や物納が認められます。

しかし、納付する義務があるにも関わらす、それを怠ったり、申告を忘れていた場合には『延滞税』や『加算税』がかけられることになります。
さらに、万が一葬儀費用を水増ししたり、不正な手段で遺産を少なく申告した等の理由により「脱税」という事になれば、課税された上に実刑判決を免れる事は出来ないでしょう。

高額な相続税ですが、納税は正しく、かつ損をしないように収めるのが一番です。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。