火葬・専用霊園も…現代ペット葬儀事情
人間は古代から犬や猫をペットとして飼いならしてきました。時には狩猟のお供として、時には農作物を狙う害獣を駆除するため、時にはよき家族として彼らは私たちのそばに居続けてきたのです。
そして、自分より年長者の死を看取ることはある種の必然であるように、私たちが彼らペットの最期を看取ることになるのも必然といえます。そして、看取ってあげた彼らを埋葬して供養することは飼い主としての義務であり、家族としての思いやりでもあるのです。
ペットロス症候群から立ち直るためのペット葬儀
家族同然に可愛がってきたペットを突然喪うと、飼い主は抑うつ状態に陥ってしまうことがあります。これを「ペットロス症候群」といいます。
ペットロス症候群は、居るのが当たり前に思えるほど大きな存在であったペットを喪うことで発症するもので、人間の家族でも同じような抑うつ状態を起こすことがあります。
しかし、ペットロス症候群の場合は人間でなくペットが対象になるため、本人や家族以外は「たかがペット」程度にしか思わないだけでなく、慰められると思って「また新しいのを飼えばいいじゃない」と面と向かって言ってしまい症状が悪化することもしばしばあります。
ペット葬儀はペットを喪ったことを再確認し受け入れることに繋がり、ペットロス症候群からの立ち直りに大きな役割を果たします。
葬儀は生きている者にとっても、悲しみを癒す為に必要なものなのです。
ペット葬儀の流れは?
ペット葬儀業者によるペットのための葬儀は、ほとんど人間のものと変わりません。
遺体の清拭を行ってきれいにした後、お坊さんによる読経による供養の後荼毘に付されます。
荼毘に付された後の遺骨は霊園に埋葬するか、家に持ち帰って埋葬を飼い主の手で行うかのどちらかになります。
ペットの埋葬はどうする?
昔はペットが死んでしまったら庭や近所の空き地などに埋めておいたものですが、今は法律が変わって自分の土地でなければペットを埋葬することが出来なくなっています。
そのため、今はペット専用の霊園に埋葬するのが一般的になってきています。
ペット専用の霊園も人間用の霊園とシステムはそう変わらず、火葬してから納骨することになります。
納骨堂だけがある霊園もあれば、借地に埋葬するタイプの霊園、他の家のペットたちと合同埋葬する霊園、飼い主と同じ場所に埋葬できる霊園など様々です。
ペットの火葬はどうする?
霊園に埋葬するとなったらペット用の火葬炉で火葬しなければなりません。
ペット霊園には火葬炉を併設している施設も少なくないのですが、近所にペット霊園がない場合は火葬炉だけを利用してお骨にしてもらうことになります。
軽トラックの荷台に火葬炉を備え付けた移動火葬車を出張させて、依頼者の自宅前で火葬にするサービスを提供するペット葬儀業者も増えているようです。
増加するペット葬儀でのトラブル
テレビ番組・CMが引き金となって起こったペットビジネスの隆盛によって、ペット葬儀業界にも新規参入者が増加傾向にあります。
そして、飼い主の心に寄り添うようなきめ細やかなサービスを提供する業者もいる一方で、悪質な営業をする業者もいるのです。
例えば、前述した移動火葬車でペットを火葬している最中に最初に提示した火葬代を釣り上げてきて「払わないなら生焼けで返す」と迫る業者や、「専用火葬炉完備」と謳いながら火葬せずに投棄して別のペットの骨を渡していた業者などが社会問題になっています。
移動火葬車自体も、800~1000℃という高温に達する炉を乗せたまま走っている危険性や、市街地での火葬によるダイオキシン発生や異臭などの問題点が指摘されています。
このように、悪徳業者に埋葬を依頼してしまうとペットロス症候群から立ち直るどころではないほどの精神的ダメージを負ってしまう結果になりかねません。
ペットの葬儀を心に残るものにするためには、必ず業者の評判を調べておくとか施設を見学に行くといった下準備を生きているうちに済ませておくのが良いかもしれません。